0-100km/h加速はGT3を0.2秒上回る3.2秒
2月21日、ポルシェAGは新型「911 GT3 RS」を発表した。ヴァイザッハにあるポルシェのモータースポーツ部門が開発したこの最新作は、3月8日に開幕するジュネーブ・モーターショーでワールドプレミアされる。
自然吸気エンジンを搭載した911の最高峰に位置づけられるモデルである911 GT3 RSの新型は、昨年デビューした新世代の「911 GT3」をベースに、エンジンとシャシーを強化し、さらなるパフォーマンスを実現している。
リアに搭載されるエンジンは、911 GT3から15kW(20PS)のパワーアップとなる、最高出力383kW(520PS)を絞り出す4.0L自然吸気6気筒で、最高回転数は9000rpmに達する高回転型ユニットだ。これに組み合わされる7速PDKは、強化された心臓部に最適化すべくスペシャルチューンが施されている。
もちろんエアロダイナミクスの向上と軽量化も徹底している。911 GT3をベースにコンベンショナルな固定式リアウイングを採用したほか、素材を見直した新しい軽量リアリッドを装着した。インテリアにはホールド性に優れたカーボン製フルバケットシートや、ネット式の小物入れとベルト式オープナーを備えた軽量ドアパネルを採用。インシュレーターも最小限に抑えた。この結果、0-100km/h加速は3.2秒を実現。「911 GT2 RS」の2.8秒には届かないが、911 GT3の3.4秒を0.2秒凌駕する俊足を手に入れている。最高速度は312km/hだ。
軽量化を実現するヴァイザッハ・パッケージも用意
シャシーには、ヴァイザッハが誇るモータースポーツ直系のテクノロジーが惜しげ無く盛り込まれている。サスペンション・アームにはベアリングに代えてボールジョイントを採用したほか、リアアクスルステア機構にはダイナミクスと正確性が最大化するようにキャリブレーションを実施。またフロントに20インチ、リアには21インチの軽量アルミホイールを装着し、フロントが265/35R20、リアは325/30R21サイズの新開発スポーツタイヤを装着。高いアジリティと優れたトラクションを実現した。
また、ロールオーバー・バーと消火器、バッテリー・キルスイッチ、6点式ハーネスが備わるクラブスポーツ・パッケージは無償オプションとして設定。さらに、カーボン製コンポーネントを広範囲に用いた専用シャシーやカーボン・インテリア、カーボン・エクステリア、マグネシウム・ホイールが装着され、車両重量1430kgを実現するヴァイザッハ・パッケージも選択可能となっている。
欧州価格は約2600万円、デリバリーは4月中旬
今回の発表に先駆けて、2月1日に北極圏のフィンランド・キッティラでヨーロッパのメディア向けに行われた雪上試乗イベントにおいて、ニュー911 GT3 RSのスニーク・プレビューが行われた。そこでは幸運にも、ポルシェのブランド・アンバサダーであり、伝説的なラリードライバーであるヴァルター・ロール氏がドライブするプロトタイプの助手席で、その走りを体験する事ができた。
サーキットではなく、雪上に設けられたハンドリングコースで、しかもスパイクタイヤを装着した状態ではあったが、後輪駆動であるにもかかわらず、驚くほどダイナミックで正確なハンドリングやパワフルな加速は感動的ですらあった。
ロール氏もその出来映えには満足している様子で、「とにかくエンジンが素晴らしい。パワフルなのはもちろんだが、レスポンスが最高なんだ。ハンドリングも俊敏で正確だから、今日みたいな氷上でも自由自在に走れるよ!」と笑顔で語っていた。
自然吸気エンジン搭載の911の究極の走りを楽しみたいという人は、この新しい911 GT3 RSを手に入れるべきだろう。ドイツにおける価格は、19%の付加価値税込みで19万5137ユーロ(約2600万円)と、誰もが簡単に手が出せる額ではないが、金額以上の素晴らしい体験が出来るはずだ。なお、すでに受注開始となっており、ドイツでは4月中旬にデリバリーがスタートする。